風景の一部になる — JOMOO と JD.com が問い直した公共トイレのかたち

中国西部の雄大な自然のなかで、快適な公共トイレを用意することは簡単ではありません。施設と施設の距離は長く、密度は低く、繁忙期には人が集中し、気候も厳しい。新疆・伊犁のナラティ草原に、JOMOO は JD.com とともに一棟だけの施設を建てました。名前は「天山の下の一つの石」。風景に対して主張するのではなく、風景に溶け込むことを出発点にした施設です。

中国西部の名だたる自然観光地では、質の高い公共トイレを用意すること自体が大きな課題です。そしてそれは、旅の印象を静かに左右する要素でもあります。

理由は構造的なものです。施設と施設のあいだの距離が長く、密度は低く、繁忙期には人が一気に集中し、気候条件も厳しい。新疆・伊犁渓谷のような放牧地や幹線道路沿いでは、清潔で落ち着いて休める場所を見つけることは決して当たり前ではありません。ここで一つの問いが立ち上がります。自然が主役の場所において、トイレはどうあるべきなのか。

天山の下の一つの石

この春、ナラティの空中草原が花の盛りを迎えるころ、その答えが草原の上にかたちになりました。

思い描いてみてください。蛇行するチャプ川、ひとつの視界のなかで出会う雪山と広がる草原、片側には放牧の段丘、もう片側には遊牧民の暮らし。こうした場所で新しい建物がすべきでないことは、その眺めを乱すことです。そこで JOMOO は、風景に押し入るのではなく、風景に溶け込むことを選びました。設計の出発点に据えたのは、この土地そのものの石です。JD.com とともに、丁寧に位置を定めた一棟だけの建物をつくり、「天山の下の一つの石」と名づけました。

草原に建つ「天山の下の一つの石」の外観

自然を招き入れる設計

石と大きな透明ガラスを組み合わせ、この地域の地質と自然の性格を引き受けています。機能と環境はもはや切り離されていません。ガラスの前に立つ人は、草原と川、その向こうの山並みに、できるかぎり近づけられます。建物は自然を締め出すのではなく、自然を縁取ります。

これは JOMOO が長く続けてきた方向の延長線上にあります。2019 年以降、莫高窟、故宮、万里の長城といった文化的ランドマークにスマートバスルームのソリューションを導入し、近年では「敦煌浄土」スマートトイレへと展開してきました。そこで重心にあったのは文化との共鳴です。ナラティでは前提が違います。ここで周囲にある遺産は自然そのものであり、設計もそれに応じたかたちを取りました。

ガラス越しに草原と山並みを望む内部空間

内も外もサステナブルに

手つかずの風景に属するためには、建物の側もその風景に敬意を払わなければなりません。内部のフィーチャーウォールは、JOMOO 自社工場で廃棄された陶器製洗面ボウルの破片からつくられています。製造工程で出た廃材が、空間の一部として二度目の生を得たかたちです。小さくはあっても、意図されたサーキュラーデザインへの目配せです。

同じ姿勢は建物の外にも及びます。JOMOO と JD.com の協業を通じて、JOMOO 天山バスルームコレクションの売上の一部が、中国志願服務基金会が立ち上げた「ワイルド新疆保護プログラム」に寄付され、新疆の生態保護を支えています。空間のなかで廃棄物を減らすだけでなく、その空間に着想を与えた風景そのものを守ることにもつながっています。

廃棄された陶器の破片を再利用したフィーチャーウォール

快適さは譲らない

こうした設計は、実用面の体験と引き換えに成り立っているわけではありません。施設には JOMOO のスマートサニタリー製品一式が備えられ、非接触操作、自動衛生管理、現代的な快適さを、都市から遠く離れた場所にもたらしています。道端の妥協を予期して立ち寄った旅行者が、草原のただなかで清潔で快適な設備に出会う。都市のトイレの水準は、舗装された世界の果てで止まる必要はありません。

JOMOO のスマートサニタリー製品を備えた内部

単独の設備から、旅の体験の一部へ

公共トイレは、目的地での体験の一部として位置づけられつつあります。その設計は、訪れた人がその土地をどう感じるかを左右し、旅のあらゆる部分にどれだけ配慮が行き届いているかを映し出します。天山スマートトイレが示したのは、スマートサニテーション、環境への責任、そして風景への敬意が、同時に成り立つということです。トイレは、衛生と快適さを提供しながら、周囲の環境に自然に収まり、訪れた人が眺めとつながったままでいられる場所になり得ます。

天山のふもとで、このトイレのもっとも先進的な点は、旅行者がトイレのことを考えずに済み、ただ景色に見入っていられることかもしれません。

それが JOMOO の目指し続ける未来です。より健やかで、より快適で、その場所によりよく調和する公共空間を。それが古い城壁のかたわらであれ、開けた原野のただなかであれ。

夕暮れの草原に佇む「天山の下の一つの石」
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